あるところに、幾分陰気で余り人のいない喫茶店があった。 その喫茶店に、少し場違いな若い彼氏彼女が入ってきた。 彼氏のほうはリーゼントだった。 どうやら初デートだったらしい。飲物を注文したはいいが、そのあと何もしゃべらない。 気まずくなったのか、彼氏のほうがタバコを取り出した。 彼はタバコをくわえ、備え付けのライターで火をつけた。 運悪く、そのライターの火力が最大になっていた。 ライターの炎はタバコを通り越し、彼のリーゼントの髪の毛まで達してしまった。 当然、髪の毛が燃え出した。 彼は慌てて、髪の毛を手でたたいたが、火はなかなか消えない。 そこで彼は、近くにあったコップの水を自分の頭に掛けた。 彼女のほうは何があったのかと目を丸くして見ていた。 火は消えたが、髪の毛は燃えたのでぽろぽろとこぼれていた。 |